どんなつらい話も昼したらたいしたことはない

努力してもむくわれないとか、不幸が向こうからやってくるとか、人間には何かと辛いこと、苦しいことがあるものです。そんなときに、考え方を少しでも変えられれば苦しみから一気に解放されることもあります。

現代はストレスの大きな時代です。仕事の厳しさに加えて、プライベートでも辛いことが起これば、精神的に追い詰められてしまうこともあります。そんなときに、緊張を少しでも和らげてくれる方法、言葉があると楽になれるものです。

悲しい話は夜するな。どんなにつらい話も、昼したら大したことはない ~島田洋七

元お笑いタレントの島田洋七さんがエッセイ「佐賀のがばいばあちゃん」の中で、語っている言葉です。「がばい」というのは佐賀県の方言で「すごい」という意味です。佐賀のお年寄りの語った名言を集めた本ですが、まさに「スゴイ」セリフが集められています。夜悲しい話をすると、どんどん辛くなってしなうので昼間しなさい、といういましめですが、実際にその通りなのでしょう。

やる気の起こらない人が、朝早起きするようになったら生活のリズムが改善されて、悩みごとがなくなりやる気が起きた、というようなケースはしばしばあります。「夜」の闇は人間の心を弱くするのかも知れません。厳しいことは夜考えるのではなく、昼間考えるようにすれば、落ち込みもそれほど大きくはならないのでしょう。

木刀も昼間握った時には何にも感じなくても、夜中に握ると憎む相手の顔が浮かぶものだと言います。「暗闇で木刀を握れば、殴る相手は自然に生まれる」などといい、疑心暗鬼や妄想にかられやすくなるそうです。ネガティブなことは夜は考えない、やらない、ということが大事なのかもしれません。

いくら勉強しても上手にならない人もいる

作家の山口瞳は、武者小路実篤をみて、こう考えたそうです。

「勉強すれば偉くなる」とか「上達する」ということよりも、「いくら勉強しても上手にならない人もいる」ということの方が、はるかに勇気を与えてくれる。

小説家・武者小路実篤は毎日のように色紙を書いたことで有名な人で、残した数は数万枚とも数十万枚とも言われます。単に文章を書くだけでなく、ジャガイモやカボチャなど野菜の絵を加えたことでも知られています。毎日毎日書き続け、上達するように練習もしましたが、それほどうまくはなりませんでした。

野菜ばかりを書いた理由については、「人形は目を失敗すればすべておしまいになってしまうけれど、野菜なら何とかなる」と語っていたそうです。絵がうまくないことは自覚していたのでしょう。偉人でも得手不得手があり、どれだけ努力を傾けてもうまくいかないことはあるという事例です。

学校では、努力すればするほど良くなる、うまくなると教えられて育ってきますが、どんなに頑張ってもうまくならないこともある、ということを知ることが、勇気になる場合もあるのです。必死になって頑張り続けてもなかなかうまくいかない時には、「そんなこともあるさ」と諦める気持ちが、気分を楽にしてくれることもあるのでしょう。