誰だってそんなつもりで泣くんじゃない――どうして人は泣くのか、立ち止まって考える

圧倒的なセンスを持つシンガーソングライターの宇多田ヒカルさん。デビューしてから数々のヒット曲を放つ、誰もが知るカリスマです。そんな彼女の歌詞には、飾らない顔をしながらも人の心のすき間に入り込んでくるような、ドキッとする名言が散りばめられています。そんな宇多田ヒカルさんの名言をご紹介します。

どうして人は泣くのだろう? と立ち止まって考える

――泣いたって何も変わらないって言われるけど 誰だってそんなつもりで泣くんじゃないよね

これは、「time will tell」の歌詞です。たった1フレーズで"泣く"という行為について、誰もが立ち止まって考えてしまう名言でしょう。効率ばかりを求める世の中では、「泣いているくらいなら、解決の方法を考えようよ」と言われてしまうようなことが、しばしばあります。しかし、現実的に何かを変えるため行動に移すのとは別に、"泣く"という行為には、泣くという行為でしか到達できないようなカタルシスがあるのです。つい泣いてしまったときの理由とは、誰にとってもひとことでは表現できないくらい複雑で、外から見ている人には分からないほど深みがあるもの。そんな気持ちをスッと伝えてくれる言葉です。

躊躇している自分には、自分で気がつけない

――廻らないタイヤが目の前に並んでるけど Accel踏まずにいるのは誰だろうね

これは、「Wait&See~リスク~」の歌詞です。"躊躇している自分"に自分自身で気づいてしまった瞬間を、車のアクセルになぞらえて表現しています。ものごとを進めるために積極的に動き始めるのは、勇気がいりますよね。時にはこの先の不安に押しつぶされそうになって、一歩を踏み出せないで燻ってしまうこともあるでしょう。しかし、このように言い訳をして躊躇している自分自身には、なかなか気づくことができません。それもそのはず、自分の姿を自分で見ることはできないのです。しかし、このフレーズには、そんな自分自身を一気に外側から見るような新鮮さがあり、ハッとしてしまいます。目の前にある"廻らないタイヤ"。具体的に出現する"躊躇する自分"のメタファーに、ぐうの音も出ないですね。

シビアな正論をシンプルに表現するキラーフレーズ

――誰かの願いが叶うころあの子が泣いてるよ みんなの願いは同時には叶わない

これは、「誰かの願いが叶うころ」の歌詞です。世の中の全体をつらぬくシビアな正論を、シンプルな1フレーズで伝える手腕が見事ですね。歌詞全体の内容に則るならば、"誰かの願い"とは、恋の願いということになります。日本の社会的な規範の中では、ひとりの人とお付き合いできるのは、たったひとりです。したがって、同じ人を好きになってしまった2人がいたとしたら、どちらか一方の願いが叶った時、どちらか一方が涙を流すことになる。両想いは誰もが祝福するべき幸福のように見えるけれども、別の側面から見れば誰かの悲しみを生み出しているかもしれないのです。転じて、世界中のみんなが同時に幸福にはなれないのだと、恋愛に限らず社会問題を想起させるような解釈の幅を持っているところも、このキラーフレーズの魅力だといえます。

今回は宇多田ヒカルさんの名言をご紹介しました。思わず自分を顧みる宇多田ヒカルさんの名言を参考に、人生がより豊かになるといいですね。