生死を分ける冷静な判断力は精神力がベースにある

九死に一生を得る-絶体絶命のピンチに陥った時でも見事に脱出し生還する人とそうでない人の違いは何か。様々な要素が絡み合ってのことでしょうけれど、ひとつ確実にいえることがあります。それは冷静な判断ができるかできないかで結果に大きな違いがあるということです。

そんな究極の修羅場をくぐりぬけて生きてきた人の言葉には重みがあります。

奇跡の生還を果たした男の考え方とは

「一か八かはヤクザ剣法、常に戦いは理にかなう。無謀は戦術以前の暴挙。命は一つしかない、死んだら次はないと心得よ」坂井三郎(旧大日本帝国海軍戦闘機搭乗員、海軍中尉・「大空のサムライ」著者)

坂井三郎氏といえば、第二次世界大戦中の太平洋戦線において、零式艦上戦闘機のパイロットとして数々の武勲をたてた日本海軍のエースとして知られている人物です。

人間、切羽詰まるとやけくそとまでは行かなくても、一か八かに賭けたくなるものです。しかし、それでは50パーセントの確率で失敗してしまいます。命のやりとりの現場でこの数字は大き過ぎです。

生き残ってこそ再び活躍することができる。死んだら次はないと心得よという一節が重く響きます。

絶対にあきらめないという精神力

坂井氏は戦闘中の負傷で半分意識がない状態となりながらも、長時間の飛行の末に基地に帰還するという経験を持っています。被弾直後には一度帰還できる状態ではないと判断していますが、帰還を決断してからの精神力は並大抵のものではありません。

この精神力があればこそ、苦境に陥っても冷静な判断ができるというものでしょう。

また、坂井氏は最後に頼れるのは自分だけとの考えで行動しており、この点については組織を重視する考えの人たちからの批判もあるようです。しかし、現実に大戦当時の巴戦(ドッグファイト)が主流の戦闘機搭乗員としては組織で戦うという概念をメインに据えるわけにもいかなかったのではと思われます。

現代社会にも通じる考え方

幸いなことに、現代の日本では戦闘で命のやりとりをするという環境はありません。大戦後は一度も他国と戦火を交えることなく暮らしてきました。坂井氏の言葉はこのような現代の日本社会にも十分通用するものです。

負けたら次がない状況であれば、やはり一か八かに賭けるのではなく、少なくとも勝つ可能性の方が高くなるまで努力すべきでしょう。失敗してもやり直せばよいという環境が幸福であることは確かですが、安易に次があるという考えは危険です。

また、チームワークは重要ですが、仲間がいないと何もできないというおんぶに抱っこ状態では組織が持ちません。まずは自分の力でやれる優秀な人員の集まりが組織力となるわけです。それには、日々の努力が欠かせません。