男は黙って女はどうする

男女差別は撤廃すべきであり雇用機会も均等であるべきというのはその通りであり、男だから女だからという理由だけで、他方より損な扱いを受ける理由はありません。しかし、そういう難しい話は抜きにして、男には男の事情があるものです。

ちっぽけでもいいから男でありたい

「男は黙ってサッポロビール」三船敏郎(日本・俳優、映画監督「サッポロビールテレビコマーシャル」)

これは、三船敏郎個人の言葉ではなく、サッポロビール社の広告キャッチコピーでした。しかし、世界のミフネを通じて発せられるコピーの印象は強烈で、一大ブームを巻き起こしたといっても過言ではありません。

時代は昭和45年という、女性が段々と強くなっていた頃です。それでも、現在と比べればまだまだですが、そんな中でも女性に押される男が増えていたのは事実です。「戦後強くなったのは女と靴下」などといわれてから随分と年月が経っていましたからね。

そんな時代背景もあって、ちっぽけでもいいからデンと構える男でありたいという気持ちが、このコピーへの共感となったというのは考え過ぎでしょうか。

黙っての解釈はその人次第

画面から伝わってくる三船敏郎の男くささと、何もしゃべらないことで増大する存在感。このメッセージをどう解釈するかは見た人次第になるわけです。もちろん、テレビコマーシャルである限り、第一のメッセージはサッポロビールを買ってくれ、飲んでくれなのですが。

従って、まずは「ごちゃごちゃ言わずにサッポロビールを選んでくれ」という解釈が成立します。また、「サッポロビールは男らしく寡黙に飲むべし」という解釈もできるでしょう。これらの派生形として他の解釈も可能です。それが、サッポロビール以外に流用されて、しばらくの間は「男は黙って○○」という言葉が飛び交っていました。特に、影響を受けやすい子供の間ではちょっとした流行になったものです。

都市伝説まで誕生する影響力

これほどまでに世間に浸透したフレーズが、本家のサッポロビールに影響をもたらさないはずがないというわけか、ひとつの都市伝説が誕生しています。

サッポロビールの採用面接を受けに来た学生が、どんな質問にも答えずに無言で座り続けたというものです。あまりの非礼な態度に面接担当者が怒ったところ、その学生はひとこと「男は黙ってサッポロビール」とだけ答えたそうです。

結果、その学生は合格したという設定もあれば、テレビコマーシャルと面接を混同するなと不合格になったという設定もあります。また、これは都市伝説ではなく実話だという声もありますが、当事者からの確たる証言は確認されていません。

でも、絶対いそうですよね。テレビのコピー侮るべからずというところでしょうか。私が面接担当者なら、どうするか迷うところです。